うんこが一つ、そこにある。
それを踏むと、うんこが一つ消え、踏まれたうんこが一つ増える。
うんこと踏まれたうんこは増減関係にある。
しかし、うんこも踏まれたうんこも、やがて土に還る。
うんこは際限なくこの世に生成されるが、同じように際限なく踏まれ、或いは土に還る。
終わりなき営みの環の中で、うんこと踏まれたうんこの希少価値は常に変化し続けている。
今、どちらの希少価値が高いのか、それは誰にもわからない。わからないならば、価値を仮定しよう。
私たちは時に、価値のわからないものに意味を付すことで、無価値から有価値へと変換する術を使う。
だが、それは裏を返せば、有価値から無価値へと変換する行為でもある。
価値を決めるのは、他ならない自分である。
今目の前にある踏まれたうんこを、無価値と切り捨てるのか、有価値と受け入れるのか。決めるのは、自分だ。