僕の職場には、憧れの先輩がいる。
その先輩は真面目で優しくて、仕事もできて、ユーモアのセンスもあり、所謂カンペキ人間というやつだ。僕よりも6つ歳上で、結婚もしている。
冬場に釣りを嗜んでいる最中、人から差し入れられたつめた〜い缶コーヒーを頰に当て、「あったか〜〜〜い」と喜んだりするお茶目な一面(顔の皮膚)もある。
僕が悩んでいる時も、優しく声を掛けてくれ、それでいてズケズケとパーソナルスペースに踏み込むこと無く心地良い距離感を保ったままアドバイスをくれる。
お酒の席ではめちゃめちゃ強面の職場の長を全員の前でイジり、しかも当の職場の長には気に入られるという偉業もこなす。
僕は魅力たっぷりの先輩のことが大好きだ。
上司にするなら絶対先輩だし、結婚するなら絶対先輩だ。共にオスなんだけど。
だからこそ、そんな先輩がある日いきなり丸刈りにしてきた時の動揺は凄まじいものがあった。
先輩は「坊主にしたかったから。特に理由は無いよ。」なんて言っていたけど。
先輩が元々短髪であったとは言え、明らかに変わったそのシルエットを見た僕は、
めちゃめちゃ笑った。
そりゃ笑うしかなく無い?
どう考えても笑うよね?
良い歳した大人の人が何の前触れもなく坊主で出社してるんだよ?
社内騒然だよ?
他にどうしたら良かったの???
誰か教えてくれない???
先輩が坊主にして、かれこれ1年近くになるけど、これからもきっと先輩にはお世話になる。
だから、僕は変わらず先輩を慕い続けたいと思う。
応援、してくれよな…。
カチャカチャ…ッターン!
「…よし!」
坊主になりました。よろしくお願いします。