夢の世界。
それは、良くも悪くも自制の利かない世界。
理不尽な状況に置かれ、どのように願おうともその不条理から逃れる術はない。
夢の世界に降り立つと同時に、自分もその世界の登場人物となるのだから・・・
その日の夢では、特に変わった様子はなかった。
普通に仕事とかしてたり、友達と遊んだり、日常を送っていた。
ただ、ずっとおしっこが出そうだった。
何をしていても膀胱に感じる無尽蔵の尿意。
尽きることのない"それ"は、僕の思考をみるみる侵食していく。
耐えきれなくなり、トイレへと向かい力いっぱいの放尿。
我慢していた分、出てくる勢い・量・濃さのなんたることか。
何とも言えない解放感を感じるのも束の間、すぐさま僕の膀胱に再尿意が。
とても信じがたいことだが、膀胱を圧迫する尿意を感じながらも、僕がどれだけ念じてもおしっこが出ない。
それどころか、おしっこは出ないのに膀胱のプレッシャーは収まるどころかどんどん膨らんで行く。
どうしてこんな目に遭っているんだろう
僕は涙を浮かべながら、膀胱のプレッシャーを抑え込んでいる。
なぜ今すぐにでも解き放つことができないのだろう。
どうして、人はこんなにも無力なんだろう。
答えは出ない。
おしっこも出ない。
僕はただ、過ぎゆく時間を独り闘い続けた。